2020年3月13日金曜日

畦際の攻防


 畦際には、レンコンが集中してできやすい。
 なぜなら、ひとつの種レンコンから地中を這って伸びる茎が葉脈のように分岐して
広がった末端にレンコンができるため、弾丸のような茎の先端が畦にぶつかってくる
のだ。

 当初は、盛夏に畦際まで伸びてきた先端を土のなかからそっと取り出して(葉の開き方
で方向が見当つく)、折らないように田の中心側に戻す「芽回し」という作業をして
いた。これをしないと、先端が畦や土手に潜り込んで貫通して水路や隣の田んぼにまで
広がったり、収穫期に大変なことになるのだ。
 それでも勢いを増したレンコンの生命力はすさまじく、毎日のように点検して回らない
と、途端に畦や岸の土手に侵入してくる。しまいには水際まで立葉が覆ってきて、
足の踏み入れ場所もなくなってくる。時期的にも、けっこう大変な作業なので、最後は
諦めてしまうのだが…。

 そうなると、思いっきり畦や土手のなかに食い込んだレンコンを掘るのは至難の作業に
…。放っておくと、翌年そこからまた芽が伸びて生育するので管理が面倒なことになる。

 とりわけ我が家のレンコン田は、水路からの水を少しでも温めながら田に入るよう、
同時に排水しやすいよう、そして落水後も水棲生物が生き残れるよう、田の周りに副水路
を巡らせている。レンコンと副水路との境目にわざわざ設けた畦(内グロ)を、侵入した
レンコンのために崩しながら掘るのには、辟易させられた…。






 そのため、去年の春に畦波板を大量購入して、レンコン田の周りをすべて囲ったのだ。
 費用はかかったが、これであの労苦から解放されるぞー!…と。

 しかし…


 畦波板の下に潜り込んだトンデモ野郎が…(画像下。すでに掘りだしたところ)。
 畦波板は40cmと50cmのものを場所に応じて設置したのだが、地表面から30cmしか入って
なかった場所だった。もっと深く入れないとダメだ…。


 取り出した犯人。畦の中をこのくらい突き進んでいた。

 板をどかしてトンネルのようにレンコンのまわりをえぐってなんとか引っ張りだした。
 これ1本だけで10~20分ぐらい時間かけたんじゃないか…。

 まだこの先も出てくるんだろうなぁ~(もう勘弁)

 

掘り取り道具


 左から、稲刈り鎌、レンコン専用鍬(熊手)、鈎、鋤。
 見づらいな…。

 すぐ泥まみれになるので、土と同化して作業中よく行方不明となる(笑)。
 ピンクのテープまいたりラッカースプレーでド派手に塗っても、効果は最初だけ…。

 鍬と鈎は、ネットで取り寄せた、たしか大分の鍛冶屋さん手作りのもの。
どちらも1万円以上したが、まずこのへんでは見かけない、西日本の産地では主流の手堀り
レンコンには必需品の道具なので、購入。

 鍬は柄が短く、4本ある鉄の爪の内2本の根元が大きく湾曲していて、片手は柄を、片手は上部の鉄を握れるようになっていて、力が入りやすくなっている。ちなみに愛知県の
産地を訪ねたら、そこは木曽川沿いの砂地で掘りやすいためか、柄の長い普通の3本爪の鍬
でフツーの畑仕事のように軽々と掘っていたのに驚いた。腰をかがめなくていいので、
羨ましかった。

 鈎は、山口県では「かいかき」と呼ばれているようだ。「貝」を「かき」取る道具に
似ているから、かな?



 作業手順は(僕の場合)

 ①まず稲刈り鎌で、土の上にある枯れた茎や葉っぱを除去。
  (手で引きちぎってもいい)

 ②鍬で、表面から10~20cm土をはぎ取って、背面側にどける。

  下にレンコンがあれば、春に伸びる新芽がすでに見えてくるので、茎や立葉の痕から
  レンコンが伸びているだろう方向に見当をつけて、まわりの土をさらに取り除く。

 ③レンコンの輪郭と先端がなんとなくみえてきたら、鈎でレンコンまわりの固い土を
  取る。

 ④鋤を使ってレンコンの輪郭になるべく沿わせながら、レンコンにまとわり
  つく粘土を剥がし、最後にレンコンの下に鋤を入れてテコで起こすように掘りだす。


  伝わりますかな…こうやって書くだけなら、楽そうだなぁ~。

れんこん掘り 再開!


 一昨日から、少しずつレンコン掘りを再開。
 このブログだけみたら、この人は林業?と思われそうだが、メインはこっちです…。

 暖冬すぎたこの冬、やろうと思えばもっと早くからできただろうけど、
一度チェーンソーを手にしたら山仕事・伐木・薪づくりモードになってしまい、
気持ちがなかなか切り替えられなかった。不器用なんで同時並行にはできず、
結局いつもと変わらない時期になってしまった…。

 そして、(いまさらながら)Facebookも始めてみました。
 主にレンコンの販売やイベント出店の告知などに、作業のことや道具のこと、
つぶやきはこのブログで。

 超アナログ人間なので、LINEもFacebookもわからないことだらけ。
ともだちリクエストにもビビる有様…。このブログももっと見やすくしないと。

 PCも毎日開くわけでなく、繁忙期になればなおさらなので、
コメントなど即レスは難しいこと、ご容赦ください。
 

2020年3月6日金曜日

道具考:薪割り機

 
 3月に入って、ようやく薪割り作業。
 庭の伐木仕事でいただいた柿の木を割ってみたら…芯が黒い。
 この木は細く根元に洞ができていて、芯の腐食も始まっていたので
薪以外の利用は考えなかったけれど、黒い芯や模様が現れた木材としての柿の木は
高値で取引されるようだ。


 この薪割り機は破砕力が13tあるエンジン式で、節があっても固くても、
たいがいの木は問題なく割れる。当初は斧で割っていたがとっても追いつかないので、
たしか4年くらい前に思い切って購入した。

 薪を押す油圧シリンダーを戻すとき、レバーを一度戻す方向に傾けたら手を放しても
自動で戻っていく(軽く触ると止まる)ので、次に割る丸太をセットする時間が稼げる
のがとてもよく、作業がはかどる。台の高さは少し腰をかがめての作業になるが、
高過ぎず低過ぎずでまずまず。レバー操作だけなら、ひっくり返したコンテナを椅子に
するとちょうどいい。

 重さは100kgちょいあって、平らなところなら先端下にある支柱のハンドルを持ちあげて
移動することもできるが、軽トラの荷台に上げたり傾斜地や不整地をひとりで引っ張る
のは、けっこう厳しい。いつかハンドルの持ち手の反対側にキャスターを溶接して、
移動が少しは楽にできるようにしたい…。

 決して安くない薪割り機だけど、最近はだいぶラインナップが増えている。
破砕力があったほうが当然よいけれど、値段に比例する。あ、手動式のは時間かかり
過ぎるし、電動のは(僕がやってみたことあるのは)直で節もない杉のような丸太しか
割れないわりに電力を食いすぎるので、おススメできない。ホームセンターでも破砕力
あるタイプが販売されているけど、同じような破砕力のある薪割り機と比べて安過ぎる
ので、そのぶん耐久性やメンテナンス性に難があると覚悟したほうがよい(以前の職場で
実感)。

 薪を割る刃がシリンダー側についているタイプと、受け手側についているタイプが
あって、前者は割れた材が目の前に落ち、後者は割れた材が刃を通り越した先に
落ちていく。
 作業性だけなら前者のほうがもう何度か薪を細かくしたいときに台に再度載せやすい
が、シリンダーの負荷を考えたら後者のほうがいいみたい。

 以前、国産の伝統的?薪割り機で薪作りを手伝ったことがあるが、シリンダーを戻す間
ずっとレバーに手を添えていないといけなかったり(しかもスピードが遅い)、台も
低くて(ほぼ地面)重たい丸太を乗せるときはまだいいけど、ずっと屈んでの作業は
辛かった。
 

 軟弱者の僕は、もう斧には戻れそうもない…。
 けれど寒いときに斧で割るのは、なんというか精神統一のような、集中力が
研ぎ澄まされて、清々しい気持ちになれる。効率や体力的負担はともかく、原点に
帰るような気持ちを思い出させてくれる。

 だから、たまにはあえて斧で…(小声でフェイドアウト)

伐木納め?


 「田んぼの法面に生えている雑木を切ってほしい」と、近所の方から頼まれた。
 いや正確にいうと、「薪やほだ木になる雑木はいりませんか?」とお誘いを受けた。
 もっと正確にいうと、先週(2月末)の出来事である…。

 以前、3haある田んぼの田起こし、代掻き、田植え、畦の草刈や除草剤散布…と、
稲刈り前までひととおりの作業委託を僕に頼んだ方からの連絡だった。
 自分の稲作は軽トラの荷台にも乗る小さなトラクターで、田植えも手植えなのだが、
その方の所有している30馬力のトラクターやら6条植え田植機やら機械を使っての
現代農業的な作業は、かつて勤めた農業法人や福祉施設での農業経験が役に立った。

 何年かお手伝いさせてもらったが、高齢のため一昨年耕作を辞められてからは
仕事の声はかからなかったので、久々に連絡を受けた。


  植林した杉林の斜面下から田んぼ上の道路までのわずかなスペースに、
太めの雑木は8本ほど。あとは受け口もいらないくらい細い雑木ばかり。


 「田んぼに降ろしてもいいから」とおっしゃってくれたが、植栽されたドウダンツツジ
や水路をまたいでの片付けは面倒で時間もかかるので、太めの木は道路に沿って倒すよう
チルホールで引っ張っての伐倒をすることに。

 
 3月に入るとレンコン掘りも再開したいし、土日は集落の総会ラッシュが続くなど
慌ただしくなる。というわけで一日で終わらせたかったので、先月民家裏の支障木伐木
でも頼りになった先輩の助けを借りて作業。


 順調に進んで、気づけばあと2本


 薪などに使えそうな幹や太枝だけ下に降ろして、枝は斜面に積み上げて終了。
 ひと冬分の薪なら充分過ぎるくらいの薪材、ありがたいことにコナラが大半だ。
 玉切りと集材は、昨夏僕の比較的近所に移住してきて薪ストーブを入れたものの
薪がなくて購入しているという仲間とともに、後日することに。



 我が家の薪置き場。これから薪割りする丸太は、画像だとたくさんあるように見える
けど、例年ならまだまだ足りない。が、この暖冬のおかげで薪の消費が少なかったので、
このくらいでも足りるかな。


 廃材パレットを使った、簡易薪棚。幅100cm×長さ100cmのパレットを2つ並べた両端に
パレットを立てて補強の柱と屋根を組んだユニットが4つ。40~45cmの薪が2列入る。
 従来ならひと冬であらかた消費していたのが、今年はまだ半分も使っていない。
 
 ありがたいやら、温暖化恐ろしいやら…。

 この場所は数年内に、雨天でも作業できる作業場(下屋)と車両置き場・薪置き場を
兼ねた、東屋を建てたいと思案中…。

2020年2月23日日曜日

続・空き家まわりの手入れ


 以前の記事で書いた、空き家まわりの伐木・手入れがひとまず終わった。
 前の写真(↓)と比べたら、ビフォーアフターでさっぱりしたかな、と。剪定の出来はともかく…(画像拡大禁止)。






 作業の締めくくりは、左側にある幹まわり1mはありそうな、ぶっとい栗の木!…ではなく、その栗に寄りかかるようにしている右の柿の木だ。二股になっていて、倒し方次第で幹が回って、右側の納屋の屋根にヒットする可能性がある。直径こそ30cmもないが、かかり木のようにほぼ横たわっている。なのに、根元も切れていない。だから、かかり木を外すときみたいに、折り倒しするにも根元がまだ離れていないから、伸張している地面側からチェーンソーを入れるか、圧縮している幹の上側からチェーンソーを入れて、途中でクサビを打ってバーが挟まれないようにすべきか、悩んだ。ありそうで、なかなかなかったタイプの伐木だ…。

 牽引しての伐木になるだろうし、枝の片付け含めて今日でめどをつけたかったので、友人2人に手伝ってもらうことにした。


 二股になっていた片側の幹(太枝)を梯子かけて切り下ろし、納屋側にあるもう片方の幹にロープをかけてプラロックでテンションをかけ、誤って納屋にヒットしないよう制御する。

 結局根元(洞があったので、その上部)は悩んだ末、上も下も小さな受け口(V字)を作ってチェーンソーが挟まれないように上からクサビを打ち、左右も切れ目を入れてツルを芯状にして、下から切り込むことにした。
 結果、挟まりかかった!なんとか抜いてクサビを叩くも、ちぎれそうにない。ツルを鉛筆上に細くしていったら、やっと切れて幹は地面に接地した。ふぅ…

 このまま少しずつ折り倒して木が起きて、最後に手前に倒れてくれたら大したことなく終わるのだけど、思ったより枝先が栗の枝と絡んでいて、このまま折り倒していくと幹が宙吊りになりそう…と判断して、根元にもロープをかけて山側に引き起こしてずり倒すことにした。


 右の杉の高い位置に支点(滑車)をとって、Vの字に張ったチルホールで根元を引っ張りあげる。
 プラロックと同じ木をアンカーにしてしまったが、さほど重くないだろうと判断。2人で木の動きをみながら交互にレバーを動かす。あ、写真はもう事後です…倒れちゃってます(作業中は余裕なし)


 狙いどおり、倒れてくれた!枝先が屋根をかすめたが、損傷なく済んだ。

 
 倒したり損傷を与えてはいけない障害物・箇所がある場所、人から仕事として依頼を受けたならなおさら、慎重に、リスクをいろいろ想定して、準備する。山仕事・伐木は度胸も必要だけれど、判断を誤ったときのリスク・損害・危険の大きさを考えると、「いちかばちか」の賭けで人から受けた仕事をすることはできない、したくない。「過信」が一番こわい。
 農村では、人の仕事は誰かしらに見られている。普段見慣れない、よそ者ならなおさら…だから損害を与えるような失敗や事故は、悪評となって信頼を得られないだろうし、逆にいい仕事をすれば、評判となって次の依頼の声がかかるかもしれない。

 実は前夜、いろいろ考えてあまり寝れなかった。事前に現場で何度も木を見上げて、周囲を見回して、どうしたらうまくいくか、あれこれ考えていたのに。でも根元を引き上げて地面に降ろすアイデアは眠れないときに思いついて、想定の範囲内だった。だからなおさら、安堵感があって、達成感があった。プロの木こりや慣れている人からみたら、いや写真や言葉だけなら素人目にも全然たいしたことない作業かもしれないけど…(あんなに気苦労したのに、自分でも写真みたらそんなふうに思ってしまう)
 
 うまく伝わったかわからないけれど、どんな仕事でも、責任を負った人にしかわからない緊張と、無事終わった充実感があるはずだ。それがやりがいとなって、モチベーションと次の仕事につながる…といいなぁ。


 

 

2020年2月19日水曜日

道具考:ヘルメット


 話が前後するが、年始に山仕事用のヘルメットを新調した。
 前に知人の山仕事団体で働かせてもらったときに支給された、スチール社の「アドバンス」というヘルメットを使っていたのだが、頭に乗せている感じが嫌だったので少しでも深く被れるよう調整したら、僕の絶壁頭だと当たってしまうところがあって痛かったこと、そしてイヤマフ(イヤーマフラー…和訳「耳あて」?)があまり耳にフィットせず(スプリングがへたってきた?)騒音が気になっていた。

 スチールの「ダイナミックエルゴ」というヘルメット。前作「エキスパート」の後継にあたるような外観。
 新しい製品で、試着したら以前のより軽い!そしてなにより被り心地が深めでフィット感があった!ので、思い切って購入した。


 バイザー閉じて、イヤマフ下げた状態
 頭部前方に一か所、後方に二か所、シャッターつきのベンチレーションがある。


 バイザーの可動箇所が片側2か所、左右で計4か所あるので…


 バイザー使わないときは、ヘルメットに沿ってコンパクトになるのはいいが…


 可動箇所がそれぞれ自由に動くので、バイザーの真ん中から下げたり上げたりしないと、簡単に歪んでしまうのが難点…バイザーも樹脂製で上部の枠から外れやすい


 きっちり真ん中から下ろすとぴったりつばにフィットする。イヤーマフのフィット感は緩くもなくきつくもなく、今までで最もよい。


 帽体内部。ラチェット式のサイズ調整、吸汗するスウェットバンド、しっかりしたあごひも、等、改良されている。
 残念なのは、これに限らずチェーンソーメーカーが作るヘルメットはほぼ「落下・飛来物用」であって、衝撃吸収素材の張ってある「墜落用」 対応ではないこと。ちょっと木に登って枝を払いながら高所にロープをかけてから、降りて伐倒…なんてときに、いちいちヘルメット替えるなど、やってられない。
 
 可動式バイザー、イヤマフ付きで1万円ちょいと、ハスクバーナの最新モデルよりは安価だが、フツーにホームセンターや作業用品店で買えるヘルメットからしたら、馴染みがない人には高額に感じてしまうかも。


 イヤマフはいらないという方は、フツーの工事ヘルメットでも充分。
 そんな方にはヘルメットの老舗「トーヨー」さんのこれがおススメ!


 (バイザーは別売り)イヤマフの価値に気づく前、いやアンチイヤマフ派だったころは、これでよかった。

 
 つば付きのヘルメットなら、バイザーを後付けできる(一部のホームセンターでも購入可)。バイザーの可動支点となっている黒いフレームを、ヘルメットのつばに差し込んで、後ろのゴムを引っ張ってヘルメット後頭部にまわすだけの、簡単設計。



 このヘルメットで感動的だったのは、ヘルメット内から出し入れできるバイザーが標準装備だったこと! いま使っているメッシュのバイザー付きヘルメットでも、隙間から切り屑が飛んでくるので防護メガネは欠かせないのだが、忘れたり落としたりしがちなので、これはチェーンソーメーカーでも採用してほしい。


 帽体内部。衝撃吸収ライナーが張ってあるので、落下・飛来物・墜落防止に対応。
 これでもたしか4千円しなかった気がする…バイザー後付けでも5千円あれば充分だったと思う。イヤマフの重要性に気づいてからも、しばらくは耳栓をしてこれで作業していた。
 デザインは好みかな…高所作業や樹上作業が増えてきたら、次は特殊伐採のプロも愛用するPETZLなどが欲しくなりそう…


 イヤマフは、チェーンソーによる薪づくりや山仕事に興味を持って始めた当初は、人の声やその他の音も聞こえなくなってかえって危険なんでは?と否定的だったが、いつ頃からか人と一緒に作業したりする際にエンジン音が騒々しいと感じ、自分のチェーンソーの音にも不快感を感じるようになった。で、耳栓をつけてみたり、半信半疑でイヤマフつけて作業してみると、外れやすい耳栓よりしっかり耳全体を覆うわりに、音を遮断するというより緩和する感じで思ったより人の声も聞こえ、甲高いエンジン音も和らいで聞こえるので、ストレスが減って作業に集中できることに気づいた。

 なので、本格的にチェーンソーを使う方には、やっぱりイヤマフ付きをおススメしたい。

伐木便利?ツール 試作

 (僕の場合の)腰痛には「冷やすこと、そしてなるべく歩くこと」と、いまお世話になっている整体の先生に言われて、時間をみつけて歩くことを心掛けている…といっても三日坊主だったりするのだが。
 天気の良い日、娘のバス通学見送りの後など、タイミングを見つけようとするのだが、雨や雪が降っていると、とても傘や合羽を着てまで歩く気にはならない。かといって、先延ばしにばかりしている苦手な事務作業(確定申告ね…)・部屋の片付け等に専念しようとすると、この動かない仕事というのも腰によくないのが困る。

 やはり人間も所詮動物、適度に体を動かさないと、どっかしら調子を崩すのだろう。

 というわけで、荒天時も歩ける場所でもあればいいのだが…と考えると、フィットネスジムやルームランナー…ではなく、ホームセンターがあるじゃないか!と思いつく。どうせなら、うんと広いホームセンターへ…

 ということで、某〇メリパワーに出かけて、店内を歩くのだが…

 あれこれ仕事や暮らしに役立ちそうなものや何かに応用できるものはないか、とすぐに立ち止まって商品を手に取ってみたりしてしまうので、全然歩く運動にならないことが判明…

 で、今回はこんな部材を買ってきて、溶接してくっつけて、使ってみた。

 なんだか分かります?


 もとはこんなギザギザした、アルミのパーツがついているもの


 二段式になっていて、伸ばすと最大約4m弱になる



 こんなふうに使います。えっ、分からない? すいません…

 答えは、木の幹や枝に少しでも高くロープを巻けるよう、ロープをずり上げる道具、です。竿は本来「スノードロッパー」という、屋根からせり出した氷雪を突いて落とす道具。先端の部材を外して、雨どいを屋根の水切り板などに固定するための金具×2個を溶接した(久々の100V家庭電源溶接…200Vよりはるかに難しい。ノンガスワイヤーだからかな…と、道具のせいにする。見るに耐えない溶接痕をグラインダーで削ってごまかす。すぐ剥がれそう…)。

 久々に山の間伐仕事のお誘いを受けたので、リハビリも兼ねて?無理はしない牽引伐倒で早速試してみることに。
 
 先に木の幹にロープをまわして大き目の輪をつくり(引っ張れば締まる結びにする)、そこに金具を引っ掛けてロープを届く限界のところまでうち上げてから、ロープのテンションを張って、牽引伐倒しようという意図の道具。わざわざ梯子を持ち歩いて木に登ってロープをかける手間や労力を省くため、少しでも高い位置にロープの支点をもっていくことでリスクを減らせたら…と考えた、いやマネてみた。釣り竿やいろんなもので自作している方がいて、もしかしたら専用の道具もあるのかもしれないが、名称もわからず調べてもいまのところ出てこない。


 試作品は、もっと引っ掛ける先端の金具が土台含めて小さいほうが、ロープを引っ掛けやすかったり、逆にセットしたロープから抜きやすい、など課題があった。またうち上げるときに思ったより幹に棒を添わせながら枯れ枝の出っ張りをかわしたり、など伸ばした棒に負荷やダメージがかかるので、伸ばしきったときの棒の強度も考えものだった(少し曲がってしまったようだ)…。それでも斜面では梯子に登らずとも高さを稼ぐことができ、まずまずの実用性であった。

 アーボリスト(ツリークライミングの技術で特殊伐採や木の手入れをするプロ)ご用達の、スローラインといった道具でロープを高所にうち上げれるような技術も学んでみたいと思う。
 

2020年2月10日月曜日

腰痛再発(注:作業前)の枝下ろし作業


 庭師の友人に頼まれて、お寺の境内にあるカシワの枝下ろしに行くことに。
 前日研いだチェーンソーの切れ味を確認しようと、朝、仕事に行く前に試し切りをする。
 シャッターに雨混じりの雪がかかって凍結したようで、開きが悪いシャッターを何度か上げ下げしてからチェーンソーを取り出してエンジンを始動させ、いざ試し切り!と立ち上がろうとしたら、なにやら「ピキッ」と音が出たわけじゃないけど身に覚えがある嫌な感覚を腰に感じて脱力…「あ、マズいかも」となる。

 腰痛再発(泣)。でも仕事に行くことが決まっていたので、だましだまし何とかやり過ごそうと、車を現場に走らせた。運転中はいいが、降りた途端にしばらく背が伸びずに腰の曲がったじぃじのような歩き方になる。


 当地では自生しているのを見たことがないカシワの木は、冬でもそっくり枯れ葉を枝につけたままポツンと立っていた。枝が主幹と同じくらい太くなって不格好ということもあって、一度枝を下ろして主幹だけにして手入れしていくとのことであった。LINEでは伐木って聞いてたんだけど…(笑)。

 で、この冬恒例となりつつある木登り枝下ろし作業となる。ところが我がバッテリーチェーンソーでは枝が太すぎてはかどらなさそうなのでエンジンチェーンソーを持ち出すも、エンジン始動は腰痛中には拷問に等しい。それでもなんとかやりくりする。


 なんとか午前中にほぼ太枝を下ろし、昼食後に薪サイズにカットしながら片づけていく。葉っぱがあり過ぎてカットしづらいし、中腰姿勢が…ということで早退させてもらうことに(泣)。頂けることになったカシワの太枝は、さぞ思いのある暖が取れる薪として活用させてもらいます!

2020年2月9日日曜日

空き家まわりの手入れ


 地域のコミュニティ会議の代表から声をかけていただき、空き家の敷地の伐木・手入れの依頼を受けることになった。


 空き家になって何年かは聞きそびれた。たまに車で30分かけて家主さん(奥さんのご主人)が草刈にきて管理されているが、庭木が生い茂りすぎて手に負えなくなってきたようだ。ご近所の目や防犯上、今後のことも気がかりであったのだろう。


 残す木と切ってほしい木をあらかじめ家主さんに確認してから、後日作業に入る。生垣の手入れは、本職の友人にお願いした。自分は伐木や、目立たない箇所?の木の手入れをすることに。剪定は素人同然だけど、枯れ枝や、内側・下側を向いた枝、上下同じ向きに重なった枝を整理してみる。なるべくバランスよく、自然な樹形になるようやってみるのだが、やればやるほど気になる箇所がみえて、やりすぎるとドツボにハマる(汗)。

 本職の友人には見せないようにしよう…(笑)。

 庭木は山の木と違って何度も枝を切られているから高さや太さはそれほどでもないが、枝が多くて曲がっていて、片付けが思ったより大変で時間を要する…持ち出さなければならない現場なら、さらに手間がかかる。それでも薪に適した木やサイズなら、山持ちでない薪ストーブ利用者にとってはありがたいお土産・現物支給である。


 もはや庭木と呼んでいいのかわからないけど…こんなにねじれて枝ワシャワシャの木もある。使われてはいないが、そのまま伐倒するとやっつけてしまいそうなパイプハウスの骨組みが斜面下にあるので、この木と奥の木は枝を下ろしてから伐木することに。特殊伐採の本職からみたら笑われるかけしからんと言われそうだが、林業用の安全帯に股下のハーネスと最初に買った安全帯に付いていた一丁吊りの吊り具をつけて、“何もつけていないよりはマシ”な装備で作業。下枝から足場を残して下ろし、画像ではこれ以上高いところに足をかけるのは無理だと判断した場所で、届く枝にロープをかけて友人に引っ張ってもらいながらチェーンソーで切れ目を入れて、パイプハウスや納屋をかわして下ろしていく。吊り具やワーキングポジション用のランヤードはこんな位置だとほぼ何の役にも立っていないとわかっているが、自己責任で作業。ボタンひとつで始動が容易なバッテリーチェーンソーさまさまである。


 木の重心を傾けたい太枝と幹だけ残して、幹にスリングをまいてチルホールで牽引伐倒。納屋側に控えを取れそうな場所がなく、根元が転がってハウスに当たる可能性があったので、先に降ろした太枝を何本か杭にしたり下に敷いたりして、おそるおそる対処…。根元に洞があったうえ、主幹となっている二股に分かれた幹がいつ分離して倒れてもおかしくなかったので、用心して洞の上から受け口と追い口を入れて伐倒。案の定、山側の幹が先に倒れだしたので、分かっていながらもヒヤッとした。より慎重にやるなら、幹どうしをロープできつく結束すべきだったかも…。

 15時頃から珍しく?天気予報どおり止みそうにない雨が降ってきて、なんとか倒した木の片付けまではできたが、奥の木の伐倒まで終えることはできなかった。1月末にみぞれでもない雨なんて…根雪どころか田の土までみえてきて、いよいよ温暖化は深刻な様相だ。そういえば先日は日当たり良いここの斜面タンポポの花が咲いてるのをみたし、この日はばっけ(ふきのとう)も発見! 南極で過去最高の20℃を記録したとか…マジヤバくね?


2020年2月3日月曜日

新たなチェーンソーが仲間入り!


 手前が3台目のチェーンソー、ついに買ってしまったバッテリーチェーンソー。マキタの18v、25cmカービングバー薄刃仕様、重さ3kg。こいつでついにチェーンソーアートを!…というつもりはまるでなく(でもやるなら、これでしょ。エンジンかけて排ガスまき散らしてまでやりたくない)前述の樹上作業では軽さとエンジン始動いらずの作業性のよさ、街中での庭仕事アルバイトでは庭木の手入れに騒音を気にせずやれる点がいい!

 そしてもうひとつのもくろみは、丸ノコや手ノコ・ノミの代わりとなるDIYでの活躍である。木を組む「ほぞ」や「ほぞ穴」を大まかに作るのに、これなら手軽で早いのではないかと期待している。カービングバーならキックバックのリスクも少なくなり、チェーンソーならではの突っ込み切りでほぞ穴開けもできるはず!古材の柱や梁を使って、小屋やら棚やらデッキなど作りたいと思っているので、道具をそろえれば妄想も現実に近づく…かと。

 奥のチェーンソーは、スチールのMS260と、MS201。前者は型落ちで安く手に入れた、最初のマイチェーンソー、後者は260が山での間伐作業や枝払いでは重く感じて軽めのが欲しくなって購入。260使わなくなるかな…と思ったが、バーを18インチから16インチに変更するキット(チェーンとスプロケットも変更)で変えてみたらだいぶ軽くなり、50ccのパワーを活かして太めの幹の伐木や玉切り・薪づくりにと再び使用頻度が上がって欠かせない。今時のオートチョークではない、アナログ調整のキャブレター信奉者というわけでもないが、丈夫で汎用がきくこのチェーンソーは林業の本職によく使われるだけあって、つくづく名機だと思う。



 家に着いたら、すぐに母屋に入ってしまうと何もやる気が起こらなくなってしまうので、車庫兼作業場となっているガレージにある薪ストーブに火をつけて、チェーンソーの手入れをする。


 チェーンを外して、バーやスプロケット、エアフィルターまわりの木屑をマイナスドライバーである程度こそぎ落したら(木屑は缶に入れて薪ストーブの焚き付けにする)、コンプレッサーで清掃。あとは組み直して、ソーチェーンを研ぐ。

 山仕事が好きな理由のひとつに、この一見めんどくさい「研ぐ」ことを疎かにすると、まったく仕事にならないという、ボタンひとつで何事も済むような現代の仕事にあって、めっちゃアナログな、職人的な領域があることだ。台所の包丁も、鎌や鍬や鉈といった農具もロクに研いでいないが、チェーンソーはサボれない。


 好きだから研ぎも上手…とは残念ながらいかないのだけれど、仕事終わりに薪ストーブの暖に温まりながらチェーンソーを手入れして研ぐ、という行為とこの時間が、僕はたまらなく好きだ。