2020年3月13日金曜日

畦際の攻防


 畦際には、レンコンが集中してできやすい。
 なぜなら、ひとつの種レンコンから地中を這って伸びる茎が葉脈のように分岐して
広がった末端にレンコンができるため、弾丸のような茎の先端が畦にぶつかってくる
のだ。

 当初は、盛夏に畦際まで伸びてきた先端を土のなかからそっと取り出して(葉の開き方
で方向が見当つく)、折らないように田の中心側に戻す「芽回し」という作業をして
いた。これをしないと、先端が畦や土手に潜り込んで貫通して水路や隣の田んぼにまで
広がったり、収穫期に大変なことになるのだ。
 それでも勢いを増したレンコンの生命力はすさまじく、毎日のように点検して回らない
と、途端に畦や岸の土手に侵入してくる。しまいには水際まで立葉が覆ってきて、
足の踏み入れ場所もなくなってくる。時期的にも、けっこう大変な作業なので、最後は
諦めてしまうのだが…。

 そうなると、思いっきり畦や土手のなかに食い込んだレンコンを掘るのは至難の作業に
…。放っておくと、翌年そこからまた芽が伸びて生育するので管理が面倒なことになる。

 とりわけ我が家のレンコン田は、水路からの水を少しでも温めながら田に入るよう、
同時に排水しやすいよう、そして落水後も水棲生物が生き残れるよう、田の周りに副水路
を巡らせている。レンコンと副水路との境目にわざわざ設けた畦(内グロ)を、侵入した
レンコンのために崩しながら掘るのには、辟易させられた…。






 そのため、去年の春に畦波板を大量購入して、レンコン田の周りをすべて囲ったのだ。
 費用はかかったが、これであの労苦から解放されるぞー!…と。

 しかし…


 畦波板の下に潜り込んだトンデモ野郎が…(画像下。すでに掘りだしたところ)。
 畦波板は40cmと50cmのものを場所に応じて設置したのだが、地表面から30cmしか入って
なかった場所だった。もっと深く入れないとダメだ…。


 取り出した犯人。畦の中をこのくらい突き進んでいた。

 板をどかしてトンネルのようにレンコンのまわりをえぐってなんとか引っ張りだした。
 これ1本だけで10~20分ぐらい時間かけたんじゃないか…。

 まだこの先も出てくるんだろうなぁ~(もう勘弁)

 

掘り取り道具


 左から、稲刈り鎌、レンコン専用鍬(熊手)、鈎、鋤。
 見づらいな…。

 すぐ泥まみれになるので、土と同化して作業中よく行方不明となる(笑)。
 ピンクのテープまいたりラッカースプレーでド派手に塗っても、効果は最初だけ…。

 鍬と鈎は、ネットで取り寄せた、たしか大分の鍛冶屋さん手作りのもの。
どちらも1万円以上したが、まずこのへんでは見かけない、西日本の産地では主流の手堀り
レンコンには必需品の道具なので、購入。

 鍬は柄が短く、4本ある鉄の爪の内2本の根元が大きく湾曲していて、片手は柄を、片手は上部の鉄を握れるようになっていて、力が入りやすくなっている。ちなみに愛知県の
産地を訪ねたら、そこは木曽川沿いの砂地で掘りやすいためか、柄の長い普通の3本爪の鍬
でフツーの畑仕事のように軽々と掘っていたのに驚いた。腰をかがめなくていいので、
羨ましかった。

 鈎は、山口県では「かいかき」と呼ばれているようだ。「貝」を「かき」取る道具に
似ているから、かな?



 作業手順は(僕の場合)

 ①まず稲刈り鎌で、土の上にある枯れた茎や葉っぱを除去。
  (手で引きちぎってもいい)

 ②鍬で、表面から10~20cm土をはぎ取って、背面側にどける。

  下にレンコンがあれば、春に伸びる新芽がすでに見えてくるので、茎や立葉の痕から
  レンコンが伸びているだろう方向に見当をつけて、まわりの土をさらに取り除く。

 ③レンコンの輪郭と先端がなんとなくみえてきたら、鈎でレンコンまわりの固い土を
  取る。

 ④鋤を使ってレンコンの輪郭になるべく沿わせながら、レンコンにまとわり
  つく粘土を剥がし、最後にレンコンの下に鋤を入れてテコで起こすように掘りだす。


  伝わりますかな…こうやって書くだけなら、楽そうだなぁ~。

れんこん掘り 再開!


 一昨日から、少しずつレンコン掘りを再開。
 このブログだけみたら、この人は林業?と思われそうだが、メインはこっちです…。

 暖冬すぎたこの冬、やろうと思えばもっと早くからできただろうけど、
一度チェーンソーを手にしたら山仕事・伐木・薪づくりモードになってしまい、
気持ちがなかなか切り替えられなかった。不器用なんで同時並行にはできず、
結局いつもと変わらない時期になってしまった…。

 そして、(いまさらながら)Facebookも始めてみました。
 主にレンコンの販売やイベント出店の告知などに、作業のことや道具のこと、
つぶやきはこのブログで。

 超アナログ人間なので、LINEもFacebookもわからないことだらけ。
ともだちリクエストにもビビる有様…。このブログももっと見やすくしないと。

 PCも毎日開くわけでなく、繁忙期になればなおさらなので、
コメントなど即レスは難しいこと、ご容赦ください。
 

2020年3月6日金曜日

道具考:薪割り機

 
 3月に入って、ようやく薪割り作業。
 庭の伐木仕事でいただいた柿の木を割ってみたら…芯が黒い。
 この木は細く根元に洞ができていて、芯の腐食も始まっていたので
薪以外の利用は考えなかったけれど、黒い芯や模様が現れた木材としての柿の木は
高値で取引されるようだ。


 この薪割り機は破砕力が13tあるエンジン式で、節があっても固くても、
たいがいの木は問題なく割れる。当初は斧で割っていたがとっても追いつかないので、
たしか4年くらい前に思い切って購入した。

 薪を押す油圧シリンダーを戻すとき、レバーを一度戻す方向に傾けたら手を放しても
自動で戻っていく(軽く触ると止まる)ので、次に割る丸太をセットする時間が稼げる
のがとてもよく、作業がはかどる。台の高さは少し腰をかがめての作業になるが、
高過ぎず低過ぎずでまずまず。レバー操作だけなら、ひっくり返したコンテナを椅子に
するとちょうどいい。

 重さは100kgちょいあって、平らなところなら先端下にある支柱のハンドルを持ちあげて
移動することもできるが、軽トラの荷台に上げたり傾斜地や不整地をひとりで引っ張る
のは、けっこう厳しい。いつかハンドルの持ち手の反対側にキャスターを溶接して、
移動が少しは楽にできるようにしたい…。

 決して安くない薪割り機だけど、最近はだいぶラインナップが増えている。
破砕力があったほうが当然よいけれど、値段に比例する。あ、手動式のは時間かかり
過ぎるし、電動のは(僕がやってみたことあるのは)直で節もない杉のような丸太しか
割れないわりに電力を食いすぎるので、おススメできない。ホームセンターでも破砕力
あるタイプが販売されているけど、同じような破砕力のある薪割り機と比べて安過ぎる
ので、そのぶん耐久性やメンテナンス性に難があると覚悟したほうがよい(以前の職場で
実感)。

 薪を割る刃がシリンダー側についているタイプと、受け手側についているタイプが
あって、前者は割れた材が目の前に落ち、後者は割れた材が刃を通り越した先に
落ちていく。
 作業性だけなら前者のほうがもう何度か薪を細かくしたいときに台に再度載せやすい
が、シリンダーの負荷を考えたら後者のほうがいいみたい。

 以前、国産の伝統的?薪割り機で薪作りを手伝ったことがあるが、シリンダーを戻す間
ずっとレバーに手を添えていないといけなかったり(しかもスピードが遅い)、台も
低くて(ほぼ地面)重たい丸太を乗せるときはまだいいけど、ずっと屈んでの作業は
辛かった。
 

 軟弱者の僕は、もう斧には戻れそうもない…。
 けれど寒いときに斧で割るのは、なんというか精神統一のような、集中力が
研ぎ澄まされて、清々しい気持ちになれる。効率や体力的負担はともかく、原点に
帰るような気持ちを思い出させてくれる。

 だから、たまにはあえて斧で…(小声でフェイドアウト)

伐木納め?


 「田んぼの法面に生えている雑木を切ってほしい」と、近所の方から頼まれた。
 いや正確にいうと、「薪やほだ木になる雑木はいりませんか?」とお誘いを受けた。
 もっと正確にいうと、先週(2月末)の出来事である…。

 以前、3haある田んぼの田起こし、代掻き、田植え、畦の草刈や除草剤散布…と、
稲刈り前までひととおりの作業委託を僕に頼んだ方からの連絡だった。
 自分の稲作は軽トラの荷台にも乗る小さなトラクターで、田植えも手植えなのだが、
その方の所有している30馬力のトラクターやら6条植え田植機やら機械を使っての
現代農業的な作業は、かつて勤めた農業法人や福祉施設での農業経験が役に立った。

 何年かお手伝いさせてもらったが、高齢のため一昨年耕作を辞められてからは
仕事の声はかからなかったので、久々に連絡を受けた。


  植林した杉林の斜面下から田んぼ上の道路までのわずかなスペースに、
太めの雑木は8本ほど。あとは受け口もいらないくらい細い雑木ばかり。


 「田んぼに降ろしてもいいから」とおっしゃってくれたが、植栽されたドウダンツツジ
や水路をまたいでの片付けは面倒で時間もかかるので、太めの木は道路に沿って倒すよう
チルホールで引っ張っての伐倒をすることに。

 
 3月に入るとレンコン掘りも再開したいし、土日は集落の総会ラッシュが続くなど
慌ただしくなる。というわけで一日で終わらせたかったので、先月民家裏の支障木伐木
でも頼りになった先輩の助けを借りて作業。


 順調に進んで、気づけばあと2本


 薪などに使えそうな幹や太枝だけ下に降ろして、枝は斜面に積み上げて終了。
 ひと冬分の薪なら充分過ぎるくらいの薪材、ありがたいことにコナラが大半だ。
 玉切りと集材は、昨夏僕の比較的近所に移住してきて薪ストーブを入れたものの
薪がなくて購入しているという仲間とともに、後日することに。



 我が家の薪置き場。これから薪割りする丸太は、画像だとたくさんあるように見える
けど、例年ならまだまだ足りない。が、この暖冬のおかげで薪の消費が少なかったので、
このくらいでも足りるかな。


 廃材パレットを使った、簡易薪棚。幅100cm×長さ100cmのパレットを2つ並べた両端に
パレットを立てて補強の柱と屋根を組んだユニットが4つ。40~45cmの薪が2列入る。
 従来ならひと冬であらかた消費していたのが、今年はまだ半分も使っていない。
 
 ありがたいやら、温暖化恐ろしいやら…。

 この場所は数年内に、雨天でも作業できる作業場(下屋)と車両置き場・薪置き場を
兼ねた、東屋を建てたいと思案中…。